内戦状態に陥っているシリアのアサド大統領の演説は、徹底的に反政府勢力の掃討を改めて確認したに過ぎなかった。政治的解決はもはや不可能。強硬な姿勢を誇示したアサド大統領への反発は、これでさらに拍車がかかる。何か建設的な提案があるかもと思ってほぼLIVEで注目していたが、聞いてがっくり。憔悴感を感じる。けして、頭の悪い人ではないはずなのだが…、日本人のインタビューしてみたい K
作成者アーカイブ: Kenji Goto
■夏の講演会へお出かけください
来る7月29日(日)午前11時~東京都多摩市主催の平和展で講演会があります。
テレビや新聞・週刊誌等では語り得ない、国際ジャーナリスト後藤健二が現場で目に焼き付けた真実の物語です。
最新のシリア情勢を交えて同じ時代を生きる人々からの『生き抜くためのメッセージ』。
お時間のある方はぜひご参加いただき、ご意見ご感想をお寄せください。
詳細は↓↓↓
http://www.city.tama.lg.jp/bunka/10860/13781/013816.html
Inside Syria
★6月22日放送『“内戦突入”シリアの市民たちは今』を見のがした方々へ-
レポートは以下でご覧になれます。
(動画は付いていませんが内容はご理解いただけると思います)
http://www.nhk.or.jp/worldwave/marugoto/2012/06/0622.html
後藤健二 「あの取材から1か月。シリアを取り巻く国際社会の動きに進展は見られません。悪化したのは、スンニ派住民とアラウィ派住民の対立。死人の数だけが増えていく。女性や子どもたちまでも…。同じシリア国民なのに憎しみ合い、全く別の国の人たちと隣同士で暮らしているようです、と現地の人たちは話しています。状況も毎日変わるので明日どうなるか?自分たちにも予想ができないと言います。
私たちと同じように彼らもオリンピックを楽しみたいはず。単純に、不公平ですよね。」
インサイド・シリア-“内戦突入” シリアの市民たちは今

傍田
「内戦状態に陥ったとされるシリア情勢についてです。
国連の停戦監視団が活動停止に追い込まれて以降、反政府勢力と政府軍の攻防はさらに激しさを増しており、21日にはシリア全土で少なくとも128人が死亡しました。」
鎌倉
「一方、政府軍の戦闘機が隣国のヨルダンに緊急着陸し、パイロットが政治亡命を求めるなど、政府軍の中でもほころびが出始めています。」
緊迫続く“内戦状態”シリア
親子2代にわたり、40年以上シリアを支配してきたアサド政権。
反政府勢力は外国の支援を受けたテロリストだとして徹底抗戦を呼びかけました。

国を救うにはテロと戦うしかない。」
アサド政権は今年4月、いったん軍事行動を停止するとしたものの、その後も、反政府勢力に対する砲撃などを全土で続けています。
アサド大統領のこうした強硬姿勢に、国際社会からは非難の声が高まっています。

アサド政権への制裁を強化しなければならない。」
先週、シリアに派遣されている国連の停戦監視団は、「戦闘の激化で監視員が重大な危険にさらされている」として、監視活動の停止を発表しました。
シリアの人権団体などによりますと、停戦監視団が活動停止に追い込まれて以降、戦闘は激しさを増しており、21日だけで少なくとも128人が死亡したと見られるということです。

「政府軍と反政府勢力との戦闘は首都ダマスカスの中心部以外のほぼすべての地域に拡大していますが、今回、こちら、国の北西部にカメラが入りました。
この地域には国民のおよそ7割を占めるイスラム教スンニ派の住民とシーア派に近いとも言われ、アサド大統領が属する少数派のアラウィ派の住民が混在して暮らしてきました。
しかし、戦いが激しさを増すにつれ、住民同士の間でも対立が深まっています。
現地で今、何が起きているのか。
フリー・ジャーナリスト、後藤健二さんのリポートです。」
“内戦突入”シリアは今
今月(6月)初め、トルコからシリアに入国した私は、北西部の街サムラに向かいました。
ここは、これまで激しい戦闘が伝えられてはいない町です。
しかし、どこにも人影がなく、ゴーストタウンとなっていました。

「たくさんの建物がありますけれども、通りにはまったく人がいません。
この街から逃げ出してしまっています。」
突然、機関銃の音が聞こえました。
後藤記者
「ヘリコプターがすごい。
今私の真上を飛んでいます。」
政府軍のヘリコプターです。
反政府勢力をあぶりだそうとヘリからの攻撃が行われていました。
街に残るスンニ派の住民と出会いました。
電気や水道を止められ、わき水をくみ、廃材やまきで火をおこし生活していました。

「ヘリコプターがこない時に水をくむ。
畑仕事をしているだけなのに攻撃される。」
子供たちが国外に逃れ、家族がばらばらになってしまったと嘆く夫婦もいました。

皆追い出されて、息子たちは国外へ逃げました。」
スンニ派とアラウィ派 深刻化する宗派対立
私が訪ねた北西部は、多数を占めるスンニ派とアサド大統領が属し、軍や治安機関の中枢を占めるアラウィ派の人々がともに暮らしてきた地域です。
政府への不信感が高まる中で、反政府勢力に参加するスンニ派の住民が増えています。
自由シリア軍の拠点がある小さな村を訪ねました。

彼らの憤りは、政府へだけではなく、アサド大統領と同じアラウィ派の住民にも向けられていました。
スンニ派とアラウィ派の住民が、互いを憎しみ合うようになっているといいます。

もともとは何の摩擦もなかったのに、『スンニ派を殺すのは正しい』と政府がアラウィ派に吹き込んでいるんだ。
いとこもアラウィ派に殺されたんだ。」
教師をしてきたスンニ派の男性です。
生徒が反政府デモに参加するのを止めなかったとして、仕事を解雇されました。

政府は、アラウィ派の住民に食料や薬だけではなく武器まで援助しているといいます。
宗派の違いによる住民同士の対立が深刻化しています。
スンニ派元教師
「私たちには食料も薬もない。
私たちを守ってくれるのは、自由シリア軍しかいない。」
互いに憎しみ合い、不安に怯える日々。
その影響は子どもたちにも及んでいます。
「アサド大統領は好き?」
「好きじゃない。
子どもや女の人を大勢殺しているから。」

「政府軍を離反した兵士が反政府勢力の側について戦闘に加わっていることはこれまでもニュースでお伝えしてきましたが、今や、一般の人たちまでお互いの宗派が違うことで対立が深刻になっていることがわかりました。
この状況で、国連の停戦監視団もストップしてしまっています。」
傍田
「シリア情勢をめぐっては来週、アメリカのクリントン国務長官がロシアを訪れ、アサド政権の早期退陣に向けた協力を重ねて求めると見られますが、ロシア側がこれに応じる見通しはなく、国際社会としても有効な手立てが見いだせない状況が続いています。」
放送のお知らせ
6月22日(金)午後10:00-10:50
NHK BS1『ワールドウェイブトゥナイト』
“内戦突入”シリアの市民たちは今
http://www.nhk.or.jp/worldwave/index.html
後藤健二がシリア国内から、最新映像とともにご報告します。
現地の人たちの声に耳を傾けてみてください。
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PRESS ROOM:結果としての事実だけを捕えること-3
結果としての事実だけを捕えること-3
今回「伝える側の注目点」として、「脱原発」を訴えた株主提案は否決されたという事実を取り上げるのはわかる。
賠償に関する株主からの質問と、会社側の答えは、株主総会で議論があって当然の話題だ。
否決されたものの、賛成票が例年の5%程度から8%に上がったという数字は付随情報として新しい事実と言えばそうだろう。
(どちらかと言えば、利益を追求していく中でコストの安い原子力発電を進めてきた民間会社の株主でありながら、
例年「脱原発」意見する人たちが5%程度はいたということの方が「ふーん、そうだったんだ。その人たちは東電に何を求めて株を保有しているのか」と興味がある。
増えた3%の株主をもって『福島第一の事故があったから「脱原発」を考えるようになった人たちは、3%程度』と暗に言わんとしているように解釈することも可能だ。)
しかし、何よりももっと例年になくめずらしい“NEW”で、“もっとここが知りたかった”という事実はなかったのか?
あったはずだ。
例えば―
・明確な安全の基準とは何か?
・落っこちた株価をどのような方法で取り戻そうと考えているのか?
・他の電力会社の保有する原発との比較論はなかったか?
・ドイツなどの政策を例にしたエネルギー政策の話などはなかったか?
それらを知るには、議事録を読むしかない。
「記事」ではなく「記録」を読めば済むことなのである。
一般でも時間のある人ならそうすれば良いと思う。一方で、時間の無い人はどうする?
マスメディアは「記録」だけを淡々と載せるだけではつまらないし、成り立たない。
マスメディアの役割とは何なのか?
ジャーナリズムはマスメディアのどこに存在し得るのか―個人に依拠するのか、組織全体に依拠するのか?
好むか好まないかに関わらず、読者や視聴者にその判断をゆだねるしかないのが現状だ。
PRESS ROOM:結果としての事実だけを捕えること-2
結果としての事実だけを捕えること-2
厄介なのは、TVニュースのナレーション。
“視”からの情報と“聴”からの情報があいまって、ついつい誘導されがちになってしまう。
東京電力の株を保有する福島県南相馬市の桜井勝延市長の実名/固有名詞を出して、
脱原発の株主提案のまるで代表のように書いたナレーションもある。
彼は、放射線の恐怖を抱えて不安な日々を送っている住民たちから選ばれた首長なのだから、
脱原発を訴えるのは「至極当たり前の態度」だ。
「至極当たり前の態度」をわざわざニュースのナレーション原稿とするのはなぜか???
“NEWS”なのだから、当たり前のことだけでなく、めずらしい“NEW”で
もっと“ここが知りたかった”という発言や行動を取り上げるべきではないか。
(少なくとも、私はかつてプロデューサーやデスクからそんな言葉をよく言われた。)
賛成意見、反対意見、それぞれを併記して「公正中立」の体裁だけ整えたナレーションは、
これまた視聴者をやんわりと(そして新聞よりも明確に)欺いていると言える。
東電株主総会に関して、「明かなる結果としての事実」だけを捕えようとすると、
・株主総会が開かれた/6月29日
・開催場所
・参加人数
・開催時間
・討議・議決された議案の数/それぞれの賛否票数(%ではない)
・「脱原発」という文言の入った定款の一部変更の株主提案は否決された
・会社側の提案はすべて可決された/社内人事は了承された
・賠償問題が話された
以上なのである。
PRESS ROOM:結果としての事実だけを捕えること-1
結果としての事実だけを捕えること-1
報道機関、特に新聞はその記事や社説から立場や意見が簡単にわかる。
そして、そうした立場から記事や社説を書くことがあって当然のことだ。
但し、「弊社は○○に賛成します」とか「この政策を支持します」といった
“はっきりとした立場表明”がなされていることが前提だろう。
(ご存じだったでしょ)的な態度は、「公正中立」の名のもとに読者を
やんわりと欺いていると言える。
東電株主総会の記事や社説を読み比べてみる。
見どころは、会長や社長の数ある発言の中から、どの発言をピックアップしているかという点。
例えば、以下の三つを比べてみるだけでもずいぶん違う。
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2011062990020320.html
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110628-OYT1T01270.htm?from=y10
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20110629k0000m070165000c.html
番組放送のご案内
番組放送のご案内
NHK BS1
放送日時: 5月8日(日) 16:00-17:50
プロジェクトWISDOMスペシャル[再]
「緊急報告・中東革命・第1回」ジャスミン革命の行方(中断[ニュース])
5月1日の再放送です。
お見逃しになられた方、もう一度よく観て考察したい、という皆さまにぜひご覧いただきたいと思います。
日本を含んだ世界は今、大きな転換点を迎えています。
ご意見、ご感想をお寄せください。
後藤健二
コメント
- 梅 より:2011年5月9日
一番避けなければいけないことは、今の日本は世界がどうなって行くのか見る事は、後回しでいいと思ってしまう事。こんな時だから、世界中の人達に感謝しつつ、世界の事もきちんと理解しなければいけないのでは。
なんとか、この革命がいい方向に向かってくれる事を期待したいと思います。