結果としての事実だけを捕えること-2
厄介なのは、TVニュースのナレーション。
“視”からの情報と“聴”からの情報があいまって、ついつい誘導されがちになってしまう。
東京電力の株を保有する福島県南相馬市の桜井勝延市長の実名/固有名詞を出して、
脱原発の株主提案のまるで代表のように書いたナレーションもある。
彼は、放射線の恐怖を抱えて不安な日々を送っている住民たちから選ばれた首長なのだから、
脱原発を訴えるのは「至極当たり前の態度」だ。
「至極当たり前の態度」をわざわざニュースのナレーション原稿とするのはなぜか???
“NEWS”なのだから、当たり前のことだけでなく、めずらしい“NEW”で
もっと“ここが知りたかった”という発言や行動を取り上げるべきではないか。
(少なくとも、私はかつてプロデューサーやデスクからそんな言葉をよく言われた。)
賛成意見、反対意見、それぞれを併記して「公正中立」の体裁だけ整えたナレーションは、
これまた視聴者をやんわりと(そして新聞よりも明確に)欺いていると言える。
東電株主総会に関して、「明かなる結果としての事実」だけを捕えようとすると、
・株主総会が開かれた/6月29日
・開催場所
・参加人数
・開催時間
・討議・議決された議案の数/それぞれの賛否票数(%ではない)
・「脱原発」という文言の入った定款の一部変更の株主提案は否決された
・会社側の提案はすべて可決された/社内人事は了承された
・賠償問題が話された
以上なのである。