小学生の授業②~ジャ-ナリストという仕事

授業はまず「ジャ-ナリスト」という仕事についての話から始まりました。

『みんなは、ジャ-ナリストがどういう仕事かということは 何となく分かっていると思います。一言でいうと、A地点で起こっていること~Aという国 あるいはここ船橋で起こっていることを日本全国の人達や世界の人達に伝える仕事です。
そして伝えるためには、伝える材料を取らなければいけない。それを「取る材料」と書いて「取材」と言います。その「取材」が主な仕事なのが、ジャ-ナリストです。
それから、ただ伝えればいいのではなくて、その自分が取材して得た情報を いつ、どういう方法で、誰に向かって伝えるか、ということを考えて、判断して、出す。そういう仕事がジャ-ナリストという仕事です。

それが僕の場合は、国際ニュ-スという現場です。日本の取材はほとんどしていませんでした。日本はずっと平和で、世界の人達が注目するようなニュ-スは少ないほうなのです。だから僕は、あまり日本にいないことが多かった、外国にばかり行っていました。ずっと海外のニュ-スを君達に、日本の人達に伝えるという仕事をしてきました。
例えば、僕はきのうの夜 ヨ-ロッパのモルドバというところから帰ってきました。モルドバという国は、ヨ-ロッパで一番貧しい国と言われるところです。そこで何が起こっているかということを取材して、これからテレビの番組にしていきます。
東日本大震災のあった3月11日は、アフリカの南ス-ダンという世界で今一番新しい国から帰ってきた後で、皆にその報告をしていました。学校へ帰ったら地図帳でみてもらえるとよいのですが、アフリカのス-ダンという国が二つに分かれて南ス-ダンという国になりました。

その南ス-ダンの報告が終わった後の帰り道、会社の近くで ものすごい揺れに襲われました。「大きい地震だな~」と思いました。僕はこの地震がどういうふうになるのか、そのときは分かりませんでした。その20分30分後に自分の国であんなに人が亡くなっているとは思いませんでした。僕はいつも外国でそういう所ばかりを取材しているのです。けれども、自分の国で起こったことは全く想像できませんでした。まさかこの日本で・・・と思ったのです。

会社へ戻ると、世界のいろんな国で出会った人達から、たくさんの電話やメ-ルがきました。パソコンを開くと「KENJI, Are you ok ?」というメ-ルが入っていました。電話もかかってきました。電話番号を見ると知らない番号からです。僕が取材した国で出会った人達からでした。それも「KENJI, Are you ok ?」という一言です。僕が「I’m ok !」と答えると、向こうの人も「ok ok !」と言って 電話は切れました。
「大丈夫?」「うん、大丈夫だよ」「そう、安心した」 これだけの会話、それで充分だったのです。そういう言葉がいくつも僕のもとに届きました。
遠くの国の人達が、日本のニュ-スをきいて心配して電話やメ-ルをくれた・・・そのことに僕はとても驚きました。

そして、これは日本だけのことではなくて、世界の人達が知りたいと思っている、世界が注目しているニュ-スなんだ、つまり、日本で起こっているけれど 世界のニュ-スの一つなのだと、そこで初めて認識して分かったわけです。
そして僕は、これを取材しなくちゃいけないと考えました。東日本大震災の取材を始めることを決めたのです。取材の準備をして、約一週間後の3月19日から被災地に入りました。

現場に行ったら、いろんな出来事がありました。いろんな人に会うことができました。いろんな話をききました。そして 取材をとおして、いろんな事を考えました。その結果、考えたのがこのアンケ-トの質問です。』

(アンケ-トの質問は、小学生の授業① を御参照ください)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>