IRAQDIARY 51(1/06,05)

ヨルダンの首都アンマン。
ようやくこうしてパソコンにむかうことができた。ファディは昨晩バグダッドへ帰って行った。彼と会って話を聞いてみてバグダッドの状況が実感として理解できた。
スンニ派武装グループとサドル派民兵グループ(この中でもレジスタンスとイスラム狂信派に分かれる)、クルド系(北部)、イラク警察とイラク軍、外国人テロリストグループ、犯罪グループ、そして米軍、それぞれがそれぞれの勝手な大儀に従って行動している。共通しているのは暴力/武力を用いることだ。これら様々な暴力のベクトルの狭間で、一般市民は恐怖と不信に埋もれて暮らしている。
バグダッドで何が起こっているかはわかっているし、いかに危険かも頭でわかってはいたけれど、ファディの目や言い方や表情を合わせて話を聞いていると実感として伝わってくる。彼自身も自分の周りにどんなグループがいて、次の瞬間に何が起こるかわからないと言う。彼がこんなことを言うのは初めてのことだ。彼は、ボクが自分の考えとイメージを持って判断したことに文句をつけようとしているわけではない。ボクの取材目的・方法をこれまでの仕事からわかっているから、バグダッドが今どういう状況か説明しておきたかったのだろう。「自分の身の安全も考えなくちゃいけない」と前にも言われたけれど、今回は彼自身にも言い聞かせているような感じだ。現実問題として、ディーナにかわっていっしょに働く通訳を見つけるのが難しいと言う。とにかくみんな、外国人と接することを恐れている。街中は言うまでもないが、学校や病院や市民が出入りするような場所の取材は容易ではなく、時間と手間がかかりそうだし、実際に無理かもしれない。
だが、彼と話していて今の時期に取材可能かもしれない対象はいくつかイメージできた。一昨日はバグダッドの知事が暗殺された。知事ともなればかなりの護衛がいたはずなのに高速道路であっさり・・・どうなっているのだろうか?

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