シエラレオネでは今、ストリート・チルドレンが急増して社会問題化している。
戦争後、武装解除の段階がひと通り終了した後、浮き彫りになってきた。
子どもたちが路上生活をするに至った経緯はそれぞれだが、シエラレオネの経済的復興が遅々として進まない中で、激しい貧困問題とも大いにリンクしている。
こうした中で、今回は路上で暮らす子どもたちの中で、兵士をしていた子どもたちに焦点を当てる。身寄りがなくて家に帰れない、あるいは家族や地域から受け入れられないといった状況の中で、路上で暮らすようになった子どもたちを探す。
ストリート・チルドレンに関する実態調査などはまだ行なわれておらず、データもない。支援活動を展開するNGOもわずかで、きちんとフィールド活動に取り組んでいるところは2,3の団体しかない。ユニセフを中心に、ようやくNGO間で情報交換や連絡会議を持つようになってきたというところ。
その中で、「ドン・ボスコ」と「GOAL」は二大双璧であり、たいへん信頼のおけるNGOだ。彼らの持っている情報は、この国のストリート・チルドレンの実態を理解させてくれると思う。
[DON BOSCO]
話: Mr. Momoh Kargbo(ヘッド・ソーシャルワーカー)
・ストリートチルドレンをケアするイタリア系NGO。歴史は長く、1996年以来シエラレオネで活動する。ボーやケネマにもケアセンターあり。
・年長の少年や青年たちには、2年間の職業訓練が受けられる施設有り(Dworzark地区)。
・ケアセンターには、18歳未満の子どもたち65人が寝泊りする。日中だけ来る子どもたちは1日60-70人程度。
・センターでの活動内容は主に三つ-
①学校に行かない子どもたち対象に午前中授業を行なうNon Formal Educational Program。
②遊びやスポーツをコーディネート。サッカーやバスケットボール、ビデオ鑑賞など。
③子どもたちの家庭訪問
・子どもたち一人一人をインタビューして履歴ファイルを作っている。
・家庭訪問では、なぜ家出をしたか、確かめるが親は認めないケースが多い。
・基本的には、センターでは9ヶ月間子どもを預かり、その後は家庭に戻すようにしている。
・家に帰した子どもたちは再び問題を起こす危険性を判断してランク付けし、保護観察の目安に。
<危険度・高>親が共働きや子どもが家に一人にされる場合・・・毎週家庭訪問。
<危険度・中>家庭になんらかの問題がある場合・・・2週間に一回。
<危険度・低>問題なし・・・月に一回。
・元子ども兵士だった場合、周囲がどう扱っていいのかわからない場合もあるため、学校と家庭を訪問し、少なくとも30分は子どもたちの話し相手になる。
・ストリートチルドレンのうち、どの程度が元子ども兵士か、あるいは体にそのしるしがあるかは、調査項目にしていないためわからない(そうした調査は行われていない)が、感触として5-10%程度。
・視察-ストリートチルドレンの溜まり場スラム街夜間-
ソーシャルワーカーたちは夜中12時過ぎからスラム街のパトロールを始め、子どもたちを保護する。フリータウンのスラム街は海に面した港湾地区に広がる。たちこめるマリファナやハシシの臭い。ストリートチルドレンのほとんどが麻薬をやっている。
<ポイント>
・KIMGIMI MARKET (火・木・土)
・GOVERNMENT WARF
・GROUNDNOT MARKET (バスターミナル)
・KOLBOYA (ギニアへの船着場)
・SAMI ABACHA St. (市場)
スラムのコミュニティーの中に、Youth groupという青年団のようなものがあり、ソーシャルワーカーたちとネットワークしている。地域の美化活動やストリートチルドレンの寝泊りを監視指導したり、犯罪防止に一役かっている模様。
・MALAMAHTONIANS YOUTH ORGANIZATION
[GOAL]
話: Mr. Sullay B. Sesay (Program Manager)
・ストリートチルドレンのケア。
・ストリートチルドレンの中に元子ども兵士はいることは確かだが、正確な数はわからない。
・少年ギャング団があり、犯罪に関わっている。特に、麻薬がはびこる。
・様々な理由から家出した子どもたちがストリートで暮らす。
・元RUFの子ども兵士だった19歳の青年のケース・・・
戦争中に使っていた麻薬の中毒から今でも抜けられない。「人を殺したい」と思う。
・コミュニティは今でも彼らを受け入れていない。表面では受け入れようとするが、心の底ではまだ受け入れていない。
・RUFの若い兵士の多くはいまだにフリータウンにおり、犯罪に関わるケースがあとを絶たない。
・例えば、元子ども兵士たちは復帰施設などで職業訓練を修了すると仕事道具を受け取る。そして社会に出て行くが、仕事が見つけられないためにもらった仕事道具を売ってしまう。そうした就業環境の難しさが現実問題としてある。
・GOALでは、フリータウンとケネマにシェルターと職業訓練所を運営している。
・体に”RUF”などの刺青やサインを持っている少年はいる。また、それを自分で消した子どももいる。その痕は残っている。