シリア内戦-今どうなっているのか?

戦略が見えない反政府勢力

 今、シリア国内での戦闘の様子を伝えているのは、反政府側の活動家たちだ。彼らは、スカイプや電話を使ってスタジオのキャスターにレポートする。中には、首都ダマスカスに反政府軍が攻勢をかけていると言う報告も多い。本当にそうなのか?実際にシリア内戦は今どうなっているのか?発信者の思惑の絡む彼らの映像や報告から、その真偽をはかろうとするのはとても難しい。

私は、北のトルコとの国境から首都ダマスカスを目指した。いったいシリア国内の街や一般市民の生活はこの膠着状態の中でどうなっているのか?自由シリア軍の力は政府軍を凌いでいると言われる。ならば、アサド政権はいつ崩壊するのか?それともまだ先のことなのか?取材からわかったことは、首都ダマスカスは未だ遠く、内戦はこの膠着状態のまま、人々は疲弊した暮らしの中から抜け出せるとっかかりすら見えないということだ。

シリア最大級の陸軍基地に隣接する街マアラ・ノアマンは、イスラム原理主義グループによる激しい戦闘が繰り広げられている中部イドリブ県の中心都市。歴史遺産と商業で有名な街だ。また、ダマスカスへの道のちょうど境目に位置している。政府軍は、戦車中心の地上戦から戦闘機による空爆に戦いの方法を大きく転換。兵士たちの姿は街から消え、基地の中から迫撃砲で周辺の町や村を攻撃する。24時間、東西南北で砲撃音や空爆の音が続く。

「一枚ではない」と揶揄される自由シリア軍。町や村あるいは家族や親戚といった小さな単位でグループを構成し、血の結束の強さと信仰心にもとづくまとまりの良さは政府軍とは違った独特の結束強さがある。しかし、彼らの戦いは「進軍する」というものではない。任務は、あくまでも自分の町や村を「守る」ことなのだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>