Report for The Big Brother in Iraq PART-2

サマワ視察報告
●サマワ概況
<バグダッドから>
車で通常は4時間弱。ただし、高速道路は米軍によって通行止めになっている区間などがあり、
迂回するため1時間ほど余計にかかる。
<ムサンナ州>
州都サマワ他8都市で構成。
<ムサンナ州知事>
ムハマド・アリ アル アブ ハッサン氏
<サマワ市長>
アル・ダファイ氏
<サマワ人口>
70~80万人

14日
●部族長訪問
[会見相手]
サディク・アブドゥル・アル・ムサウィ氏(62)

[解説]
ムサウィ氏は、サマワとその周辺にある12の部族の連合体”The Independent Iraq Gathering (「独立イラク連合」)”の議長。同団体は1991年 シーア派の蜂起後にサウジアラビアのラファ・キャンプ(イラク人難民キャンプ)で設立された。同グループは1992年9月以降、イラク国内にて活動。宗教属性はナジャフのシーア派。
<部族(長)名>
① アル・ドゥワーリン・チアド シャーラン アブアルジュン  
② アル・アブジェヤ-シュ・アリ アジャ ダーリ  
③ アル・ガニム・ヌーリ アザラ マージョン 
④ アル・ズィアド・カーディム アルファハド 
⑤ アル・アバス・マリク アブド ハシム 
⑥ アル・トバ・ムハシン アルシャーバン 
⑦ アル・チュワブ・ラヒーム ⑧アル・ムハシン・マジッド ミズィアール アルハムド 
⑨ アル・マジード・カリム ラハディ マトラブ
⑩ アル・ブラカット・カザール アル・アナド
⑪ アル・ブ ハサン・ムサ アル・アナド
⑫ バニ ズリージ・アドナン アル・ハワム

[会見内容]
・平和的で、この街の建物を造ったり、道路を造ってくれたりしにくる人たちは歓迎する。
・何日か前、日本が軍隊を送ることに反対しているという3、4人の日本人のグループが来た。彼らから、日本の軍隊が来る前にサマワの人たちにはデモなどの反対キャンペーンをして欲しいと要望される。しかし、自分たちは日本の軍隊がサマワの街をたてなおすために来ると思っているので、そのようなお願いはお断りした。
・日本の軍隊を占領軍とは思っていない。戦かったり、イラク人を傷つけるためにくる人たちではないと思っている。道路を整備したり、オフィスを造ってくれたりすることを期待している。
・治安については心配ない。日本の人たちのために、地元警察、治安部隊、必要なものはすべて用意する。
・造るのは、水の施設だけなのか?単に兵士が来るだけなら私たちには必要ない。
・戦争が終わって7ヶ月間、米軍やオランダ軍に対する攻撃はない。
・日本の会社は、いつ来るのか?
・自分たちの安全を守るという理由で兵士が来るのであれば、イラク(軍)の兵士と(イラク人も雇って)いっしょに働いてくれることを望む。(→オランダ軍は新イラク軍の訓練を行っている。)
・日本が来てくれたら本当にうれしい。
・1月20日(火)15:00より、サマワ地域12の部族の長が会合を開く予定。

●市内の様子
<市場>
生鮮食料品、日用雑貨、あらゆるものが種類、数ともに豊富。自転車店目立つ。自転車はサマワ市民の足。
<連合軍の輸送路>
クウェートからと思われる物資(石油)のトラック車列が多いときは一日中、目抜き通りを通過。
<鉄道>
サマワ駅。貨物輸送にのみ使用されているが、頻度はかなり低い。
<オランダ軍>
本部は街の中心。駐屯地は中心街から車で10分ほどの郊外“スミティ・キャンプ”。町中でもヘル
メットをかぶらずに素頭。
<ICDC>
IRAQI CIVILIAN DEFENCE CORP.(新イラク軍)。 オランダ軍によって訓練受けている。

●若者たちと夕食会
[目的]
日本が来ることについて、どんな情報をどの程度持っているのか、および地元の若者の率直な思いを聞く。

[参加者]
オディ・メジット(29)・・・未婚、無職。
アラ・ナサル(27)・・・未婚、職業は検察官。
モハナド・アリ(28)・・・未婚、技術者としてサマワ通信郵便局に勤務。
ハイダ・ラザック(35)・・・既婚、無職。政治犯として2年間投獄される。左腕前腕部に拷問痕。2002年9月恩赦で釈放。
アベット・アルラティク・ラザック(27)・・・未婚、無職。以前は新聞販売業。

[内容]
・日本の軍隊はオランダ軍やアメリカ軍のような占領軍ではないはず。
・日本の軍隊といっしょに日本の企業が来るとテレビやラジオで聞いた。
・市役所の職業課の人たちが言っている。
・日本の軍隊の中の、建物の修復や水道施設を作る部隊と、その部隊を守る(自衛する)ための
部隊が来ると聞いている。
・結婚にかかる費用は、2~3,000,000ディナール(2,000ドル前後)。
・彼らが中流と感じる生活を送るのに必要な月収は、400USドル。
・とにかく働きたい。
・(サダム時代に)大学に行って、学費を払って単位をとってきたのに、憤りを覚える。あの時のお金を返して欲しい。

15日
●サマワ新聞社訪問
[会見相手]
編集長 ナファー・アル・ファルフーリ氏(34)

[会見内容]
・日本の軍隊は、自衛のために来る軍隊である。
・日本人にはいいイメージを持っている。
・日本の軍隊が来るのは、サマワが安全だから。
・何らかの形で、お金を落としていってくれる。
・ひと月ちょっと前、ラマダン中に日本の軍隊が来ることを知った。
・サマワ/ムサンナ州にはイラク最大のコンクリート工場やソディウム塩、それに石油、ガスもある。
・町のバスケットチームが『日本の友だち』というグループを作った。州知事に日本への要望書を書いて渡した。
・テレビ、ラジオ、インターネットの設備が欲しい。特にテレビの放送機材が望まれる。
・オランダ軍と協調して6ヶ月間、8月(米軍とオランダ軍の駐留期限契約による)まで活動するのではないか。その後は米軍が受け継ぐはずだが、日本は残ると思う。
・駐屯地はサマワ郊外にあるし、砂漠地帯にあるから安全。
・サマワには多くの軍隊が来て、そしてビジネスマンもやって来られるようになる町だと思う。

●サマワ市職業安定所訪問
[会見相手]
所長 ムハマド・ナスィール・アル・フセイニ氏(65)
副所長 ナスィール・カディム・ファルフーディ氏(62)

[概況]
職業労働省管轄で、今年1月7日開設。
名前や専門などを用紙に書いて登録。同所では、どんな仕事をできる人が何人いるかを把握して要請に合わせて募集、派遣する。
1日500~600人が来所。5つある窓口には人々がごった返す。
1 月初め、駐留オランダ軍から5000ドルの寄付を受け、ビルの修繕、コンピューター3台とコピー機1台を購入。コンピューターは州政府が用意した4台と合わせて計7台。しかし、オペレーターは女性1名のみ。コンピューター技術者を養成するためイラク国外に数名を派遣している。

[会見内容]
・イラン・イラク戦争の時は、みな兵士だった。91年以降は、特に農業の仕事が盛んで雇用はあった。92年の反政府動乱の後、バース党員だけが優遇されて職を与えられるようになった。
・職種は、運転手、技術者、大工、電気技師など、何でも対応できる。
・オランダ軍は治安維持活動をする兵士たちだから、雇用機会が広がるとは期待していなかった。
・まだ日本の軍隊を見たことがないので、イメージがわかない。
・日本の軍隊が来たからといって、すぐに雇用があるとは思っていない。働き口が増えるかどうかは実際にはわからない。たとえ雇用は創り出せなくても、職業訓練センターのようなものはぜひ欲しい。
・アマラ(バスラ-サマワ間の町)にある小児科病院が日本に支援されてできたことは知っているが、日本に支援された病院があることは、知らない。
(→ 市内のユーフラテス河沿いに、86年に日本の援助で開設されたサマワ総合病院がある。一部メディアでは、対日感情が良い要因の一つとも言われている。しかし、当時のサダム独裁政権下では日本の援助によって造られたということは公表されていなかったと考えられる。一般市民は知らない可能性がある。)

●オランダ軍キャンプ・スミティおよび自衛隊宿営予定地視察
[概況]
町から車で10分ほど、サマワ駅を越えた広大な平地に位置する。自衛隊宿営予定地はほぼ隣接している。周囲に何もなく、360度見通しがきく地形。

[会見相手]
オランダ軍 ハルシンガ広報官

[会見内容]
・自衛隊とはお互い協力し合いながらうまくやっていける。
・オランダはカナダやポーランドなどと並んで平和維持活動の経験がある国。自分たちが日本側に教えてあげられることもあるし、日本側から教わるところもあるはず。それが連合軍という意味。

16日
●在バグダッド日本大使館訪問
[会見相手]
松林健一郎 1等書記官

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>