緊急ルポ!チュニジア・バーニング

 チュニジア・バーニング 02・25

チュニス。2月25日午後7時。内務省と警察署本部をデモ隊が襲い、催涙弾と石が飛び交う激しい暴動が目抜き通りで起こった。

滞在中のホテルのロビーには意識を失った若者、座り込んで眼や鼻をおさえる若者が溢れている。

外に出る。「神は偉大なり!」と叫びながら投石する若者たち、警察も怒り狂って催涙弾をバンバン撃ってくる。放水車が水を放ち、路面がぬれている。デモ隊は、催涙弾が撃たれては引き、少し収まると前進するという一進一退の攻防が続く。脇道には催涙弾で動けなくなった男たちが暗闇の中でうめいている。ここに一緒に居ても仕方がないと大通りに出て、盾になる場所を探しながら、デモ隊と警察・治安部隊が相対している前線を目指す。現場で自分込みのレポートをしながら撮影する。眼薬を何回さしたか、わからない。花粉症防止マスクが役立った。バリケードの二列目から撮影。双方が激しい言い合い(なじり合いか?)をしている。催涙弾が背後に着弾。放水車が水を向けると同時に、前線のデモ隊は走って後退する。

その時、誰かに引っ張られた。一緒に走って下がる。

その途中で建物の入り口のくぼみに体をはめ込んだ。ごうを煮やした警察と治安部隊が鎮圧にかかり、一気に前進を始める。「前線」が私の目の前を通り過ぎていく。私のいた場所は警察と治安部隊の側に入った。捕まり/保護され、取材はジ・エンド。デモ隊はチュニジア最大のモスクの方向に吸い込まれて行った。

気を付けてはいたが、取材中に投げられた石が腕に当たるなど危険を感じたので撤収、モスクまで行くのはやめた。

昼間の数万人デモはチュニジア全土から人が集まってきたものだった。リビア、パレスチナ、サウジなど、他のアラブ諸国の旗も見られた。しかし、あくまでもチュニジアの一般市民のデモと要求であり、「イスラム法による社会の実現を求めるか?」という質問を向けてもyesという答えはなかった。さらなる政治的改革を求める平和的なものだったのに…。

しかし、夜の暴動を見るに、若者の行き場の無い怒りや不満が過激なイスラムへの信条へと繋がって行くような光景が目の前で展開されている。投石する若者、そう、過激なイスラム色が強い。昼間に見た外からのアラブ人(一見チュニジア人を装っているのか…)が暴動に参加しているのだろうと頭をよぎる。まさに今、この政治的空白と社会の変革機を突いてイスラムの過激な部分が入って来て、表面化して来ている。

見たところ、TVジャーナリストは僕一人だったらしい。地元の民放(名前は聞かなかった)からテープを売ってくれと言われたが断った。

 チュニジアは他国の民主化運動と台頭化する過激なイスラムを渦のように巻き込み、新たな炎が燃え上がりつつある。

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